長期包括契約の締結への住民監査請求

柳泉園組合監査委員会様

 

1.        請求の趣旨

柳泉園組合は、柳泉園組合のごみの中間処理全般にわたる長期委託契約である、「柳泉園組合クリーンポート長期包括運営管理事業」契約の締結を進めている。

この「柳泉園組合クリーンポート長期包括運営管理事業」契約の締結の取り止めを求めて、地方自治法第242条第1項に基づき別途資料を添付し、住民監査請求を行う。

 

2.        請求の理由

1)長期包括契約の内容とこれまでの経過

柳泉園組合は、長期包括契約を、次のような内容で締結するための入札公告を、すでに2016年8月31日に行った。その内容は、以下のように柳泉園組合議会に提出された方針書に記載されている。

目的:本施設に搬入される一般廃棄物を適正に処理する。

事業内容:「搬入管理」「運転管理」「維持管理」「環境管理」「情報管理」「防災管理」その他関連業務。

入札方法:総合評価一般競争入札(いわゆるプロポーザル方式)

期間:2017年(平成29)7月1日~平成44年6月30日 15年間

金額(予定):144億4140万4千円

またこれまでのこの方針の内容確定や入札公告に至る経過は、次の通りである。

    2015年(平成27)審議会(内容確定のための)立ち上げ

メンバー:全都清(全国都市清掃会議)、東京23区清掃一部事務組合、日本環境衛生組合、3市環境&都市清掃部長,柳泉園助役

    2016年3月。審議会(入札方法に関係する)立ち上げの予算提案。

    同年   4月~ 第2次審議会 (入札方法など)

    同年 6~7月 事前業者説明

    同年 8月24日 柳泉園議会、長期包括契約方針提案

    同年 8月31日 入札公告

 

2)問題点

     何のために長期包括契約を結ぶのかという点が曖昧であり、説明がなされていない。

今回の長期包括契約は、これまで柳泉園組合が行っていた構成3市の一般廃棄物の中間処理のほとんどすべてを丸投げ的に民間企業に、15年の長期に渡り委託する巨大契約であり、年間で10億円もの契約である。

ところが、今このような契約をなぜ結ばなければならないのか、現状の管理にどのような問題があるのか?納税者住民にとってどのようなメリットがあるのかが、説明がされていない。 

実際この契約案を審議した審議会には、住民、市民団体、労組、周辺自治会などの参加がなく、住民の代理人である構成3市の市議会議員も参加していない。全く住民、市民代表が不在のまま長期包括契約案が作られていた。

     入札は落札先が絞られ、恣意的に落札者を決められる不正の入り込む余地のある入札方法になっている。また一般競争入札を原則とする地方自治法にも反している。

今回の入札方法は、総合評価一般競争入札(いわゆるプロポーザル方式)で、現在の柳泉園組合の焼却炉建設メーカであるS重機械(株)が、様々な条件からいって、落札するであろうという見方が噂されている。

 長期包括契約が、住民にとってどのような利益があるのかが曖昧なまま進められ、この契約によって最も恩恵を受けるのが契約受託事業者である焼却炉メーカであることを考えた時、契約自体が官民の談合の疑いすらある。

    長期包括契約について、公開の議論や正式の手続きを避けて進めている。

1)2015年に始まった第1次の審議会が終わり、長期包括契約案がまとめられた段階(今年2016年当初)でも、その内容の全体が明らかにされ、基礎自治体の市町村の住民や議会、周辺自治会への説明や議論すら行っていない。

2)柳泉園組合での方針提案では、議会への提案(8月24日)前に、実施方針の公表が行われ、事業者からの質問の受付すら行っている。この件は、基礎自治体に今後3市で毎年約10億円の債務負担行為となる契約であり、その契約の是非を構成3市の基礎自治体で論議していないのである。問題である。

    契約金額の積算の前提は、現状のごみ処理費用である。しかしごみ処理については、処理の方法は基礎自治体の首長が変われば、当然変わる。

15年の長きにわたる契約は、今後新たに生まれる自治体の長の裁量権を制約する。

 例えば、府中市ではごみ半減化を数年で実施し、成功させた。また横浜市でもごみの量を2/3に減らし、減量化に成功し、7つある焼却炉を5つに減らした。

 現状のごみ量を前提にし、金額をはじきその1割減が実現できるといっても、住民にとって割安感は生まれない。

    柳泉園組合は、自治法上の一部事務組合であり、構成市である西東京市、東久留米市、清瀬市は、ごみの中間処理という一部の事務を行うために作った自治体である。したがって柳泉園組合のオーナー自治体は、あくまで構成三市である。だからこそ自治法上も「一部事務組合」と位置付けている。ところが、その一部事務組合が、構成3市での論議やそこでの了解なしに構成3市の債務負担行為を勝手に決めている。自治法上においても問題がある。一方この件は、柳泉園組合の管理者(正・副)が

今回の提案を行うにあたって、自分が管理者である構成3市に、この計画を裏付ける計画や予算措置をとることなく進めている点に象徴的に矛盾が発生している。

    「廃棄物の処理及び清掃に関する」法律への違反。

同法は、市町村は自らの自治体で発生する一般廃棄物の処理に当たって、一般廃棄物処理基本計画に基づき処理することを定めている。また一般廃棄物処理計画は10年計画で立案し、5年ごとの見直しを求めている。

ごみ、一般廃棄物は、住民の経済、社会生活の結果排出されるものであり、生活の変化やごみのリサイクルや減量化の取り組みの有無によって変動する。10先を予測することは難しく、それ以上を計画するのは、絵空ごとになってしまう。そこで一般廃棄物処理基本計画は、10年先を考え、5年ごとの見直しを行う。

ところが長期包括契約の年限は15年である。このために、この契約は、柳泉園組合の「一般廃棄物処理計画」の10年を超えて、計画が立てられ、明らかに廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反である。

 

以上の点から「柳泉園組合クリーンポート長期包括運営管理事業契約は直ちに取りやめることを求める。

 

   2016年11月4日

 住民監査請求人  住所

 

          氏名