柳泉園監査請求陳述

柳泉園は地方自治法に規定された一部事務組合である。従って、当然にも地方自治法の諸規定の適用を受けている。

地方自治法第214条には、「歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為には予算で債務負担行為として定めておかなければならない。」と定めている。

長期継続契約については地方自治法234条の3で債務負担行為の例外が規定されている。しかしそのいずれにも該当しないことから、柳泉園はこの規定のもと、今回の「柳泉園クリンポート長期包括運営管理事業」において債務負担行為を設定することとした。地方自治法の規定は普通地方公共団体についての規定だが、一部事務組合が地方自治法の普通地方公共団体の諸規定を準用するのは自明のことである。

柳泉園組合議会が行った平成28年度柳泉園組合一般会計補正予算の議決は無効である。こんなところに長期にわたる高額な税金の支払いを、将来ノーチェックになるおそれが大きい、いわば丸投げのような形で任せるわけにはいかない。議会がチェック機能を喪失しているならば、市民が自ら監視せざるを得ない。長期包括契約は市民のチェック機能を奪うものであり認められない。

ちなみに、柳泉園組合は「長期継続契約を締結することができる契約を定める条例」を制定している。今回の契約の根拠とはしなかったものの、何でもありの条例になっていることに驚きあきれた。

同条例第2条2項で「役務の提供を受ける契約で、当該役務の提供を安定的かつ有利に受けるために複数年度にわたり契約を締結することが必要なもの」と定めているが、平成161110日付け総務省通知により柳泉園組合の同条例及び同施行規則は地方自治法第234条の3に違反する違法条例である。

柳泉園組合は法律に基づかない行政事務を行っており、チェック機能も崩壊している。本件監査請求への監査委員のみなさんの意見をもって、法に基づく行政に転換させるように望みたいものである。

 

 

 

 

構成自治体の議員として本件の違法性についてひとこと申し上げる。

地方自治法第287条の4には「一部事務組合の議決すべき事件のうち政令で定める重要なものについて当該議会の議決を求めようとするときは、あらかじめ、これを当該一部事務組合の構成団体の長に通知しなければならない。当該議決の結果についても、同様とする。」と定めている。しかし、我々議員に対して長からの報告は一切ない。長は副管理者として決定に参加しているために、改めての通知は実質的には意味を持たないかもしれない。しかし、行政は形式を重要視している。なぜなら、関係者だけが知っていればいいということではないからだ。

長が行うこと行ったことが財政負担を伴うものならば、なおのこと議会の審査を受け、議決または承認を受けなければならない。

西東京市では長期契約について様々議論してきた過去がある。リース契約や指定管理契約の期間等は抑制的に行われている。にもかかわらず、親のスネをかじっているような放蕩息子が、親の知らないうちに親に支払い義務が及ぶ契約を結ぶことなど論外のことである。

構成自治体が機関意志として本件契約を承認しない限り、構成自治体の負担金を担保としない限り履行不可能な契約を一部事務組合が独自に締結することは出来ない。

地方自治法は首長や議員の任期を4年に限っている。もちろん再任は妨げられていない。しかし、1任期は4年である。地方自治法はこのことを自明のこととして構成されている。自治体の会計は単年度会計である。複数年にわたる支出については地方自治法第214条によって、明記することが義務付けられている。15年の長期にわたる支出を伴う政策に厳しい制約があるのは当然のことである。

自治体の長期計画との比較においても、本件長期契約は異常である。自治体の最上位計画は10年を期間とした総合計画である。この計画は5年ごとの見直しが規定され、3年ごとに実施計画を作成する。首長が変わったとしても政策選択ができるようになっている。

柳泉園組合の事務は廃棄物の中間処理である。廃棄物の処理に関しては、自治体の基本的事務であり、その時々の首長の政策選択に委ねられている。15年の長期にわたる政策は首長の政策選択権を制限するものとして、もとより違法である。しかし、このことは構成自治体の課題である。

 

柳泉園組合の側から言えば、15年の長期にわたって構成自治体が現状のままあり続けることは単なる願望にすぎない。例えば、柳泉園組合の負担金の半分近くを占める西東京市が柳泉園組合を脱退したら、本件契約は履行不可能となってしまう。しかし、民間との長期契約は長期であることによってデイスカウントされた価格とされており、途中解約は違約金の対象となる。構成自治体が機関意志として支出を承認していない以上、違約金の支払いは、契約に関わった首長と柳泉園が背負うことになる。

また、西東京市は分ければ資源、混ぜればごみとして分別収集・資源化処理を旨とし、焼却ごみの削減に努めてきた。現在、焼却ごみの多くを占める生ごみの資源化処理の試行を行っている。資源化処理が軌道に乗れば、大幅な焼却ごみの削減になり、現在3炉運転されているが減炉することができる。東久留米市で実施される有料化も、西東京市の経験から言ってごみ減量の要因になる。現状の体制の継続を前提とした本件事業の実施は、おおきな財政負担をもたらすものとなる。

 

以上申し上げた通り、「柳泉園組合クリンポート長期包括運営管理事業」における契約は、地方自治法上締結してはいけない契約であり、本件行為を強行すれば財務会計上重大な損失を招きかねず、取りやめることを求める。