住民監査請求


柳泉園組合 監査委員 様

 

請求趣旨

柳泉園組合が、住友重機械エンバイロメント(株)と締結した柳泉園クリーンポート長期包括運営管理事業委託契約について重大な瑕疵が見つかったため、同契約の取り消しを求める。

 

請求の理由

重大な経過事実と、下記記載の契約上の瑕疵があることがわかった。

1)まず経過事実として、2017年4月20日に柳泉園組合臨時議会が開催され、柳泉園クリーンポート長期包括運営管理委託契約(本件長期包括契約)の行政の取り扱いに関連して、担当責任者である助役の「処分」をおこない、議会で了承されていた。

本件は、長期包括契約であり、これまで「委託契約」」として処理してきていたが、大規模補修と言う請負工事を含んでおり、柳泉園組合の条例からすると議会承認案件であることが分かり、改めて、議会承認を得た。柳泉園組合の条例では、1億5000万円を超える工事又は請負契約では、議会承認を得ることが必要である。

柳泉園組合の判断として、本件は請負契約工事契約として取り扱う必要性が、2017年3月になって、顧問弁護士に相談して分かったという。そこで、議会に改めて提案するにあたって、そのような手続きを取っていない責任者の「助役」を処分したということである。

本件契約は、名称的には今も「柳泉園クリーンポート長期包括運営管理委託契約」としているが、臨時議会を開催し、担当者を処分までしている経過を見れば、この契約は、工事又は請負契約と位置付けていたことが分かる。

 

2)その際、議事録から次の事も分かった。

柳泉園組合の長期包括契約の入札に応札していたのは、同じ「住重」を名乗っていても、住重環境エンジニアリング(株)であり、入札に参加し、落札し、仮契約(2017年3月28日。)したのは、同住重環境エンジニアリング(株)であった。

ところが、契約書を締結した(2017年4月28日)のは、全く別法人である住友重機械エンバイロメント(株)であり、上記同住重環境エンジニアリング(株)は、2017年4月1日付で、登記抹消されていた。

 

2016年8月 本件入札決定

同年   8月 入札公告

        応札は、 「住重環境エンジニアリング(株)」と「テスコ(株)」

        同上2社で総合評価方式で競争入札

2017年3月 「住重環境エンジニアリング(株)」落札

同年3月28日  同上社と仮契約 

  4月1日   同上社、解散。解散と同時に「住友重機械エンバイロメント(株)」に吸収合併。

2017年4月28日 「住友重機械エンバイロメント(株)」と同契約を締結。

 

3)本件契約の入札には、住重環境エンジニアリング(株)のほか、テスコ株式会社が応札した入札金額は、同環境エンジニアリング(株)、同テスコ(株)は、それぞれ1239,450万円、1213,0592,000だった。金額面では同テスコ(株)が、安い価格で入札したが総合評価の結果、住重環境エンジニアリングが落札することとなっていた。

 

2)本件長期包括契約に関して下記の重大な瑕疵があることが分かった。

 

   本件契約は、経過からも明らかなように、1億5000万円以上の請負工事を含んでいるために、単なる「委託契約」ではなく、「請負契約」として進めなければならなかった。「請負契約」の場合は、入札に当たって、どのような工事を進めるのかを事業者である柳泉園組合が、設計図書や工程表を準備し、完成形、成果物を示す必要がある。

ところが、柳泉園組合は、今回本件契約が、請負契約として進めなければならないことを分かった上で、とった対応は、当初の入札に立ち返って、やり直すのではなく、議会に承認を求めるという手続きだけであった。

明らかにこれは契約手続き上の瑕疵に相当する。

 

   本件契約が、請負契約として進めなければならないとしたら本件契約の入札・公告にまで遡って、検証する必要がある。

本件契約の入札・公告に対して、応札し、競争入札し、落札、仮契約したのは、「住重環境エンジニアリング(株)」であり、契約締結したの「住友重機械エンバイロメント(株)」であり、別法人であった。

住重環境エンジニアリング(株)」の登記簿(甲1号)の「目的」欄をみると、焼却炉の大規模改修事業を請負工事として受託するために必要不可欠な「廃棄物処理施設に関する事業」及び「建設業」について記載がない。

本来登記簿上にその目的記載がない事業者は、本件請負工事を受託する事業者の資格が無いと考えられる。

一方住友重機械エンバイロメント(株)は、登記簿(甲2号)に、「廃棄物処理施設に関する事業」及び「建設業」の目的記載がある。そこで住友重機械エンバイロメント(株)に吸収される形をとったと思われる。

しかしそもそも「住重環境エンジニアリング(株)」は、入札の資格すらなかったことになる。したがって、本件入札に「住重環境エンジニアリング(株)」を参加させ、また落札させ、仮契約を結んだこと自体、建設法上の違反である。したがって、その仮契約を受け継いで結んだとする住友重機械エンバイロメント(株)との契約上の無効は明らかである。

 

   本件契約の入札は、一般競争入札総合評価方式となっている。

住重環境エンジニアリング(株)とテスコ株式会社の入札金額は、同テスコ(株)が、安い価格で入札したが総合評価の結果、住重環境エンジニアリング(株)が落札することとなった。

一方自治法234条では、契約について一般競争入札と指名競争入札、随意契約他が定められている。一般競争入札が原則であり、今回のような支出に関するものの場合は、条例等で定めたもの以外は、安い価格を提示した事業者との契約が定められている。

ところが柳泉園組合の条例では、総合評価方式の位置づけは行っていない。したがって価格を安く入札した事業者との契約を決定する必要があったが、価格の高い住重環境エンジニアリング(株)に落札決定している。

総合評価方式によって、初めから住重環境エンジニアリングが落札することを念頭に置いたものとの疑念もわく。

高い住重環境エンジニアリングを落札させた経過を見た時には、実質的には随意契約であり、公金の支出は地方自治法2342項、同法施行令167条の211号違反であり、違法である。

 

以上本件契約は、契約手続き上見過ごすことのできぬ不当・違法な瑕疵があり、すぐさま本件契約の取り消しを求めることを、地方自治法242条第一項に基づき、別途書証を添えて監査請求を行う。

 

 

請求人:阿部洋二他